・歯列矯正をしないで受け口を治す方法があれば、教えて下さい。

答え

通常、上下の歯の関係は上の歯が下の歯を覆う形になっています。今回の質問にある「受け口」とは、そのかみ合わせ(以下、咬(こう)合とします。)が逆の関係になっている状態で反対咬合ともいいます。受け口は、軽度の状態であれば、歯の向きを変えることにより、通常の咬合にできます。最も歯にやさしい治療法は歯列矯正となりますが、残念ながら保険がききません。また、治療期間が長くかかります。今回見ていただくのは、いわゆる「差し歯」を用いて、歯の向きを変えた例です。治療前の状態は前歯のみが受け口の状態です。(1,2,3)。まず、歯の向きを変えるために、上4本、下6本の歯の根の治療を行いました。通常歯の根の治療は虫歯がひどい時などに行うものですが、歯の向きを変えるため、残念ながらこの治療が必要となりました。次にプラスティックの仮歯を作ります。これで咬合の状態が、正常咬合となりました。(4)この状態で患者さんの意見を伺いながら、歯の形、色を決めていきます。いろいろな角度から検討します(5)。最後に相談した内容が十分に反映された、オールセラミックの歯を入れることができました。(6,7,8)受け口の治療はその原因によって治療法が異なります。今回のように歯の向きを治すことで改善できる場合もありますが、その原因が骨格性(骨の成長)である場合は、外科的な手術が必要となる場合があります。是非相談して下さい。