・歯が回転して出てきた場合、歯を部分矯正する方法はありますか?
答え歯が出てくるときには、どちらかが少し傾いたり、外側に出たり内側に出たりすることがあります。また、あまり頻度は多くありませんが、歯が回転して出てくることも。今回は、そんな症例を紹介します。20歳代の女性で、場所は右下の奥歯です。もともと、歯の数が不足していました。実はまだ、永久歯が1本出ていなかったのです。本来出てくるはずの歯は、骨の奥にあることがレントゲンで分かりました(1,X線像)。 今回その上にあった永久歯の状態が悪くなり、残念ながら抜歯をしなければなりません。それならば抜歯する際にあらかじめ確認していた奥の歯を歯肉の外に出して、かみ合わせができるようにしようと考えました。 抜歯する時に、奥の歯が出てきやすいように少し骨を除去しておきました(2,X線像)。 その後何日か経過して、ある程度歯肉が落ち着いた状態です(3,4,5)。 中にあった歯は、ゆっくりと骨の中で上へ動いていきます。しかも、もう成長期を過ぎているため、歯が骨の中から外へ出ようとする力が弱く、抜歯後2ヶ月経過したところで動きが止まってしまいました(6,X線像)。 このままでは外へ出てきません。そこで外科的に歯肉を開き、歯の上にある薄い骨を除去しました。すると、本来なら小学生の時に出てくる歯が、約10年遅れでようやく顔を出しました(7)。 そこまでは良かったのですが、なんと90度回転して出てきてしまいました。さあ大変です(8,9,10,11)。 早速、部分的に歯を動かす装置をセットしました(12)。 まず、前後の歯の位置まで高さを合わせていかなければなりません。そのために、歯を上へ引き上げます(13,14)。この続きは次回にお話しします。
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